YAGレーザー(スペクトラ)とIPL(フォトフェイシャルステラM22)の違いとできること
2025-08-29
「シミやそばかすをなくしたい」「肌全体のくすみをなくして透明感を出したい」など、美肌を目指す上で美容医療でできることはたくさんあります。クリニックでよく耳にする「YAGレーザー」と「IPL」ですが、これらは一体何が違うのでしょうか?今回は、特に当院で人気の高い「YAGレーザー(スペクトラ)」と「IPL(フォトフェイシャルステラM22)」に焦点を当て、その違いとそれぞれでできることを分かりやすく解説します。
1. YAGレーザーとIPL、そもそも何が違うの?
一番大きな違いは、照射する「光の種類」と「エネルギーの強さ」です 。
- YAGレーザー(スペクトラ): 特定の波長(単一波長)の強力な光を照射します。高いエネルギーをピンポイントで照射するため、狙ったターゲット(メラニンや赤みの原因となるヘモグロビンなど)を効率良く破壊します。濃いシミやアザ、肝斑など、特定の悩みに集中的にアプローチすることに優れています 1。
- IPL(フォトフェイシャルステラM22): 複数の波長を含むマイルドな光を照射します。レーザーよりも穏やかなエネルギーを広範囲に照射するため、シミ、そばかす、赤ら顔、毛穴の開きなど、複数の肌悩みに同時にアプローチすることに優れています 。
例えるなら、**YAGレーザーは「ピンポイントで的を射抜く強力な銃」、IPLは「広範囲に効果を及ぼすマイルドな散弾銃」**のようなイメージです 。
2. YAGレーザー(スペクトラ)でできること
スペクトラは、肝斑治療で米国食品医薬品局(FDA)の認可を受けている高性能なYAGレーザーです 。患者さんの肌悩みに合わせてモードを使い分けることで、幅広い効果が期待できます。
主な効果と得意な悩み
- 濃いシミ、そばかすの除去: 高いエネルギーでメラニン色素を破壊します 。多くの場合、1回の照射で効果を実感できますが、照射後に一時的にかさぶたができたり、色素沈着が起こったりすることがあります 。
- 肝斑治療(レーザートーニング): 従来のレーザーでは悪化しやすいとされていた肝斑に対し、低出力のレーザーを顔全体に均一に照射することで、メラニンを穏やかに破壊し、徐々に改善へと導きます。この技術は「トップハットビーム」と呼ばれ、周辺組織への熱ダメージを抑えるため、肝斑治療に有効です 。
- 毛穴の開き、ニキビ、肌質改善: 熱エネルギーが肌の真皮層に作用し、コラーゲンの生成を促すことで、肌のハリやキメを整えます。毛穴の引き締めや、皮脂の分泌を抑える効果も期待できます 。
3. IPL(フォトフェイシャルステラM22)でできること
ステラM22は、複数の波長フィルターを使い分けることで、肌の様々な層にある悩みに同時にアプローチできるのが大きな特徴です 。
主な効果と得意な悩み
- 複数のシミ、そばかす、くすみの改善: 広範囲に散らばった薄いシミやそばかす、肌全体のくすみに効果的です 。1回の施術で劇的にシミが消えるというよりは、回数を重ねるごとに全体的に肌のトーンが明るくなり、透明感が増していくのを実感できます 。
- 赤ら顔・ニキビ跡の赤み: 血管のヘモグロビンに反応する波長で、毛細血管の拡張を抑え、赤みを改善します 。
- 小じわ、肌のハリ・弾力アップ: 熱エネルギーが真皮層にあるコラーゲンやエラスチンの生成を促し、肌のハリや弾力を高めます 。
- 毛穴の開き: コラーゲンが増えることで毛穴が引き締まり、目立ちにくくなります 。
4. 施術の痛みやダウンタイムは?
- YAGレーザー(スペクトラ):
- 痛み: 濃いシミのスポット照射では、輪ゴムで弾かれたような痛みを感じることがあります 。肝斑治療のトーニングでは、ほとんど痛みを感じません 。
- ダウンタイム: スポット照射の場合、照射部分に一時的にかさぶたができ、剥がれるまでに数日から1週間ほどかかることがあります 。その間は目立たないシールを貼って保護します 。トーニングでは、ダウンタイムはほとんどありません 。
- IPL(フォトフェイシャルステラM22):
- 痛み: 照射時の痛みは「カメラのフラッシュのような眩しさや、ゴムでパチンと弾かれた程度の痛み」と表現されます 。麻酔は通常必要ありません 。
- ダウンタイム: ほとんどありません 。施術後すぐにメイクをして帰ることができます 。施術後にシミが濃くなったように見えたり、薄いかさぶた(マイクロクラスト)ができたりすることがありますが、通常1週間から10日程度で自然に剥がれ落ちます 。
5. あなたはどっちが向いている?
項目 | YAGレーザー(スペクトラ) | IPL(フォトフェイシャルステラM22) |
得意なこと | 濃いシミ、アザ、肝斑など、特定の悩みに集中的にアプローチ | 薄いシミ、くすみ、赤ら顔など、複数の悩みを同時に改善 |
効果の出方 | 1回の施術で高い効果を実感しやすい(ダウンタイムあり) | 回数を重ねるごとに徐々に効果を実感(ダウンタイムほぼなし) |
痛み | 輪ゴムで弾かれたような痛み(スポット照射) | 温かさやゴムで弾かれたような熱い感覚 |
ダウンタイム | スポット照射はかさぶた・保護テープが必要 。トーニングはほぼなし 。 | ほとんどなし(施術直後からメイク可) 。 |
こんな人におすすめ | 「気になる濃いシミをピンポイントで消したい」「肝斑治療をしたい」 | 「顔全体のくすみをなくして肌をトーンアップしたい」「複数の悩みをまとめて改善したい」 |
どちらの治療がご自身の肌に合っているかは、肌の状態や悩みの種類によって異なります。まずはカウンセリングを受け、医師と相談しながら最適な治療法を選ぶことをおすすめします 。